世界の憲法を見てみよう! 神様と「憲法前文」
「憲法改正」
最近、新聞やニュースなどでよく耳にする言葉だと思います。
議論の焦点は「憲法9条(平和主義)」に当てられていることが多いのですが、
今日は、「憲法前文」について、お話ししていきたいと思います^^
憲法は、あらゆる法の中でも一番上の地位に存在する「最高法規」とされています。
日本国憲法98条1項
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅、国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
つまり、どんな法律であったとしても、憲法に反するものは、原則、無効なんですね!
憲法は、法のキングのような存在なんですね!
そんな憲法の中には、〇条という具体的な条文以外にも記載されていることがあります。
それが、憲法前文です。
これは、1条の前に規定されています!
日本国憲法をみてみると、
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(=代表民主制)、…」
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した(=平和主義)」
などと、前文において宣言されています。
この憲法前文は、基本的には、憲法の理念を宣言したものです。
つまり、憲法の中身で、いろいろな権利や制度を定める前に、
まずは、その国が志向する国の在り方を憲法前文で表明するわけですね!
今日のテーマは、「神様と憲法前文」。
・・・「神様」と関係ある?
そう思われるのも無理はありません。
なぜなら、日本国憲法に、「神」は登場しませんからね。
しかし、海外の憲法を見てみると・・・そうではないのです!!
政教分離という言葉をご存知でしょうか。
特定の宗教団体に対して恩恵的な政策がなされたりすることがないようにするための、国家の非宗教性を目的とした制度です。
この法制度は、特定の宗教団体が政治権力を握ることによって、不当な公権力行使が行われてきた過去の歴史の反省を踏まえたものです。
先進国であれば、憲法の中に政教分離制度が織り込まれているのがスタンダードとなっています。
しかし、そんな先進国の憲法にも、なんと「神様」が登場するのです!
以下のように、いくつかの国は、憲法前文(憲法の理念部分)において、高らかに神の存在を宣言をしております。
【カナダ】1982年憲法(最新)
カナダは、神の至高性および法の支配を承認する原理に基礎付けられているので、以下のとおり定める。
【ドイツ】ドイツ連邦共和国基本法(ボン基本法)
ドイツ国民は、神及び人間の前での責任を自覚し、統合されたヨーロッパの対等の構成員として世界の平和に奉仕する意思に鼓舞されて、その憲法制定権力に基づき、この基本法を制定した。…
【スイス】スイス連邦憲法(1999年4月18日)
全能の神の名において!
スイス国民及び州は、
被造物に対する責任を自覚し、
世界に対する連帯及び解放の精神において、自由及び民主主義並びに独立及び平和を強化するために同盟を刷新することを決意し、…
(引用元)高橋和之『新版 世界憲法集(第2版)』2012年・岩波書店
スイス憲法すごいですね(笑)
他にも、全世界20か国が、憲法前文において「唯一神」の存在を高らかに認めています。
日本では、「神様」なんてワードを出すと、
「怪しい…」「宗教くさい」なんて思われがちですが、
ワールドスタンダードはそうではないのですよっ!
憲法改正について騒がれている今日この頃ですが、
これを機会に、視野を世界に大きく広げてみて、
“なぜ、海外の国は、憲法前文で「神」を認めているのか?”をぜひ考えてみてください!
「キリスト教国」だったから、という理由以上に、
その国の国民が、長い間、神様を呼び求め、神様を実感しながら生きてきた歴史を知るようになると思います。
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大学院生。弁護士を目指して勉強中です。
最近のマイブームは、アロマ。大阪在住。
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