学部生と大学院生、何が違うのか?
久しぶりの投稿になってしまいました。今まで立て込んでてなかなか更新できず。
Feynman diagramの連載ももはや連載ではなくなってしまったが・・・ また気ままにやらせてください/(–)/
さて、コロナウイルスで世間は混乱の渦の最中ですが来年度から晴れて大学院生として進学する方も多いはず。そこで僕自身が大学院生をやってみて感じた事、「これを頭の中に入れておいた方がいいよ」といったことを話そうと思います。
まずこの記事で伝えたいことは何か。それは
大学院生は学生という名の研究者
ということです。もちろん学部あけですから、最初から最前線で走る研究者とガッツリ議論する必要はないと思いますが、決定的に学部生と違うのは大学院生に与えられた2年または(博士課程を入れると)5年の目的は勉強ではなく研究だということなのです。
「勉強と研究ってそんなに違うの?」と思いますよね。学部生の頃、少なくとも僕は研究は勉強の延長線上にあるものだというくらいにしか考えていませんでした。これ自体は間違ってませんがそれだけだと認識が甘いのです。実際に研究をしてみると
研究者というのは立派な職業である
ということを実感するようになります。具体的に話すと、研究をするときには勉強以外の知識・技量が必要になってきます。その一つとして周囲の学生・先生方・外部の研究者の人たちとのコミュニケーション、またそれを通じて業界のホットな話題や自分の研究にフィードバックできそうな情報を取捨選択しながら収集する能力が挙げられます。やはり院生になっても最初は「どういうトピックが研究として成立するのか」が自分だけではわからないものです。このようにして情報を集めながらそれを基にして新しい仕事をしていくのです。この一連のプロセスは他の職種でも同じはずです。だから研究者というのは「勉強が好き!」という思いだけではなかなかなれない職業だと僕は思っています。
学部生の頃は自分の興味のある分野(僕だったら例えば一般相対論とか場の理論とか)の教科書を自分で持ってきてひたすら読み進める、いわゆる「勉強」が好きでしたし、研究もそのようなものだろうと思っていました。しかし研究とは「勉強が好き」ということを根底に持った上でさらに情報収集能力、コミュニケーション能力、時間管理(周囲の研究者とのミーティングも増えてくるのでスケジュール管理は必須です)、体調管理(体が健康であってこそ研究もできます!)等の多くの実務的なスキルが必要とされる仕事なのです。この点は勉強をするのが大好きな人は特に注意が必要です。勉強が好きというその一心で研究業界に足を踏み入れるとギャップを感じるかもしれません。
もちろん最初からパーフェクトにできる必要はないですし、実際にやりながら成長していくものなので心配することはないと思いますが確かに大学院生は研究者の一人として周囲からもみられるということを覚えておいたらいいと思います。世間では大学院に入ることを「入院」と言ったりなかなか明るい雰囲気がしないと感じる人もいるかもしれませんが、研究者としてその生活を楽しめれば実際に自分の研究テーマが決まって仕事が進んでいくと甲斐も感じるし、喜びがあると僕は思っています。
みなさんの大学院生ライフが充実したものとなりますように・・・!
是非他の記事もみてみてください〜(^^)
投稿者プロフィール
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素粒子物理学を研究しています。
物理学を「面白い学問」で終わらせないこと、そこから「人生のなかで核心となる精神」を学んで生きることが僕の哲学です。
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