Feynmanダイアグラムを描いてみた -Part2- (Feynman核)

日々思うこと

$$\def\bra#1{\mathinner{\left\langle{#1}\right|}}$$ $$\def\ket#1{\mathinner{\left|{#1}\right\rangle}}$$ $$\def\braket#1#2{\mathinner{\left\langle{#1}\middle|#2\right\rangle}}$$

前回までのキーワード:Schrödinger Picture , Heisenberg Picture

前回は系の時間発展を具体的に与えた:$$\begin{align}\ket{\Psi(t)}&=U(t,t_{0})\ket{\Psi(t_{0})}\\ &=exp\left[-\frac{i}{\hbar}\hat{H}(t)(t-t_{0})\right]\ket{\Psi(t_{0})}。\end{align}$$

これに\(\bra{\boldsymbol{x}}\)を左から作用させると$$\Psi(t,\boldsymbol{x})=\bra{\boldsymbol{x}}U(t,t_{0})\ket{\Psi(t_{0})}$$とできる。さらに\(U(t,t_{0})\)の後ろに完全系:\(\int_{-\infty}^{+\infty} d^3x_{0} \ket{\boldsymbol{x}_{0}}\bra{\boldsymbol{x}_{0}}=\boldsymbol{1}\)を挿入すると$$\Psi(t,\boldsymbol{x})=\int d^3x_{0}K(t,t_{0};\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0})\Psi(t_{0},\boldsymbol{x}_{0}) \tag{1}$$となる。ここで\(K(t,t_{0};\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0})\equiv\bra{\boldsymbol{x}}U(t,t_{0})\ket{\boldsymbol{x}_{0}}\)であり、これをFeynman核と呼ぶ。(1)式を見てみると\(\Psi(t_0,x_0)\)にWeightとしてFeynman核が掛かっており、それを足しあげたものが波動関数になっている。あくまでも\(\Psi(t_0,x_0)\)は初期時刻での波動関数(初期条件)であると見れば波動関数を考える際にはむしろWeightであるFeynman核の方が根本的であると言える。そのため、Feynman核は波動関数を与える基本的な量であるとみることができる。

ところで時間発展演算子\(U(t,t_{0})\)はSchrödinger方程式と同じ形の運動方程式$$i\hbar\frac{\partial}{\partial t}U(t,t_{0})=\hat{H}(t,\hat{\boldsymbol{p}},\hat{\boldsymbol{x}})U(t,t_{0})$$を満たすことは明らかであるが、さらにこれを\(\bra{\boldsymbol{x}}\)と\(\ket{\boldsymbol{x}_{0}}\)でsandwichするとFeynman核もまた同じ運動方程式に従うことがわかる:$$\begin{align}i\hbar\frac{\partial}{\partial t}K(t,t_{0};\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0})&=\hat{H}(t,\hat{\boldsymbol{p}},\hat{\boldsymbol{x}})\bra{\boldsymbol{x}}U(t,t_{0})\ket{\boldsymbol{x}_{0}}\\ &=\bra{\boldsymbol{x}}\hat{H}(t, \frac{\hbar}{i}\nabla, \boldsymbol{x})U(t,t_{0})\ket{\boldsymbol{x}_{0}}\\ &∴i\hbar\frac{\partial}{\partial t}K\left(t,t_{0};\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0}\right)=H\left(t,\frac{\hbar}{i}\nabla,\boldsymbol{x}\right)K(t,t_{0},\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0})\end{align}$$

またこの運動方程式を考える上での初期条件は時間発展演算子の初期条件:\(U(t_{0},t_{0})=\boldsymbol{1}\)より$$K(t_{0},t_{0};\boldsymbol{x},\boldsymbol{x}_{0})(=\braket{\boldsymbol{x}}{\boldsymbol{x}_{0}})=\delta^{(3)}(\boldsymbol{x}-\boldsymbol{x}_{0})$$となる。よって初期時刻ではFeynman核は波動関数そのものと一致する。

今日はここまで。Feynman核の導入をしたが次回はこれにEuclidian(時間→虚時間への置き換え)を適用すると統計力学の分配関数と結びついていることがわかる。また余裕があれば具体的にfree particleのFeynman核を考えれたら(~~)φ

 

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素粒子兄弟
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素粒子物理学を研究しています。
物理学を「面白い学問」で終わらせないこと、そこから「人生のなかで核心となる精神」を学んで生きることが僕の哲学です。

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